私は18年間同人活動を続けてきたオタクの女である。
つまり商業小説、あるいは商業漫画の2次創作小説を書き、同人誌を作り、同人誌即売会というイベント(コミケなど)で売っていた。
就職したら同人活動なんて続けられないよ、とか、結婚したら(以下同文)、出産したら(以下同文)等々世間では言われがちだが、それはどれも私には当てはまらなかった。人生のステージがどこであっても、仕事がめちゃめちゃ辛かった時も、失恋しても、転職しても、結婚しても、出産しても、私は同人活動を続けていた。今までいたことがあるジャンルは二つ。ちょうど半々、9年ずつくらい活動をしていた。ジャンル滞在期間は平均より長い方だと思う。そんなにいて一体何をそんなに書くことがあるんだって感じだが、自分でもそう思っていたんだが、浮かんでくる話をただただ書くということを続けていたら、これだけの時間が経ったというわけだ。
18年。もはや赤子も成人だ。
私は本当に同人活動を愛していたし、一生これを書いていられたらそれでいいんや、と思っていた。こんな生活を死ぬまで続けるんだろうな、とも思っていた。でも二つ目のジャンルでおおよそ書きたいものを書ききった……と思えた時、たまたま原作も最終回を迎えることになり、ちょうどいいかなと初めて自分で思えたタイミングだったので、活動を終えることに決めた。そして、私は2020年の6月を最後の同人イベントにすることにして、そう告知した。
ところが、だ。そのイベントは開催されなかった。もちろんコロナのせいである。
でも18年間続けてきたことだし、出したばっかでほとんど頒布ができていない本があったので、どうしてももう一度だけリアルのイベントに出たかった。ところが、2021年5月のコミケ99に申し込んだらそれもずれて、結局2021年12月29日コミックマーケット99が最後のイベントになった。
その時のことはここに書いてある。
本当に晴れて暖かくて素敵な冬コミ日和で。
まったりしていたけれど、ずっと楽しくて、素敵な1日だった。
記事の中に「帰り道、ちょっと泣いちゃった」って書いてあるが、誇張じゃなくて、本当にちょっとばかみたいに泣けてしまったのだ。
この18年の楽しかったこととか、色々がぶわっときて。
売り子してくれたらひいちゃんが優しかったこととか、あの東ホール出た後の傾いた冬の午後の光とか。ゆりかもめから見る風景だとか。
全部、なんか感傷的になってしまって。
だから。
だから、私、ブランドバッグを買うことに決めました。
?
??
どういう???
はい。
まずはこちらを、どうぞお読みください。
(こちらは、あきやあさみさんの素敵noteです)
18年間、書き続けた。ずっと原稿のことばっか考えてた。年間の休日の8割は一人でもくもくと書いてた。ろくに遊びにもいかず、休日ゴロゴロすることもなく、オタクだというのにゲームもせず、流行りのアニメも一切見ず、ひたすら余暇には二次創作小説を書いた。パソコン持ってファミレスや喫茶店に入り浸って。本当にずっと書いてた。それが生きがいだったし長い長い長いながーーーーーい青春だった。幸せだった。
友達もいっぱいできた。楽しいことがいっぱいあった。読んでくれた人がいた。感想をくれた方がいた。そこから繋がった縁があった。身に余ると思うほど、本当に幸せだった。
それに、自分の手でバイバイするのだ。本当はまだ未練タラタラでネタを考えちゃったりもするんだけど、そうしてるといつまで経っても自分が本当にしたいことができない。(オリジナルをちゃんと書けるようになりたい)。いっぱいいっぱいいっぱい2次創作で遊んだ。一旦、ここはバイバイするところなのだ。
わかってる。
でもでもやっぱりさみしい。ちょっと切ない。
じゃあ、どうする?
と思った時に、頭をよぎったのはあきやさんの記事のこの部分。
もしくは「頑張った自分へのレクイエム(鎮魂歌)パターン」もあります。
仕事を死に物狂いでやり切りました、買います
「フェンディ、ピーカブー」
辛かった学校を這いつくばって卒業しました、買います
「サンローラン、カバス」
退職日まで勤め上げました、買います
「ディオール、レディディオール」
裁判に勝訴しました、買います
「マルジェラ、5AC」なんですよ…⚡️自分の心を鎮魂しなければいけない時が、あるんですよ。こちらも「埋める」わけではなく「気持ちをあげる」意味です。名誉の負傷の血の香りがします。過去の自分とはグッバイ・ララバイ、さよなら三角またきて四角なのです△□
鎮魂歌!!!!!!!!!!!!!!
今の私に必要なのは鎮魂歌だ!!!!!!!!!!!!!!!!
この想いを全部込めて、(物理的には難しいのかもしれないが気持ち的には)
辛い時も、苦しい時も、頑張る時も、楽しい時も、今後ずっと人生を共にできるようなバッグを買おう!!
(ふぅ〜……)
ということで、帰り道にはその心は決まっていた。
電車の中で早速カバンの検索を始めた。
しかし、大事なのは予算である。
あまり大物を買ったこともなく、30代前半でお金の見直しをしてからは、それなりに真面目にお金を貯めていたので、自分の貯金からその気になればバッグの一つくらいは買えると思う。でも今までブランドバッグを買ったことないし、ちゃんと検討をしたことがないから、いくらくらいが妥当なのか微妙にわからない。
でも……私は深呼吸をした。
18年分のすべての愛をぶつけるお買い物だから、自分でも納得感がある、それなりに強気な予算を立てたい。
と、いうことで。
今まで出した同人誌の数 × 1万円
を、予算上限とすることにした。
(個人誌・合同誌・自分が主催したアンソロジーを含み、寄稿は含まない)
希望のバッグのスペックは、ファッション自問自答……ではなく、愛だけで弾き出した。
●色は絶対に黒(これは私の中の二大受けちゃんのイメージカラーがどちらも黒だから)
●サイズはA4・パソコンが入るくらい(原稿にも持っていきたい。でもこれはその後何度も頭抱えてゴロゴロする羽目になる)
●素材は本革(長く使いたい)
●なるべく丈夫なもの(長く使いたい)
●いろんなオケージョンに使えるもの(仕事、普段使い、セレモニー他、いつも一緒にいたい)
●受けちゃんっぽいデザイン(強くてかわいい)
●名前は「ほずひこ」
ほずひこ??????
えーと、受けの二人の名前を合体させました。
ここから私のほずひこを探す旅が始まった。
なお、印字サービスがあったらHOZUHIKOと入れてもらうつもりだ。
本当は「HOJUPIKO」にしたいんだけど崩しすぎなので私が(心の中で)呼ぶ時の名前にする。
えっ、リセール?
するわけないし!!!!!!!!!
(つづく)